ベトナムの退職金(退職手当)制度【日本人も貰える】※2022年8月更新

※執筆:2017/7/4
※更新:2022/8/5

ベトナム現地で働いている方の転職相談でも特に聞かれることの多いベトナムにおける退職金(退職手当)制度についてご紹介させていただきます!

労働法における退職・解雇手当とは

日本と同じようにベトナムにも退職金制度がありますが、なんと!ベトナムにおいては退職金の受け取りは法律で認められた権利なのです!

厳密には退職金制度ではなく、退職(解雇)手当が受け取れる制度となっていて、ベトナム労働法で定められています。(ベトナム労働法48・49条)

現地採用の方でこういった法律の存在を知らなかったばっかりに、手当を受給せずに退職したという方が多いので是非ご参考にしてください。

退職金制度のポイント4つ

①取得条件

1年以上勤務した方は全員取得する権利があります。自己都合退職でもちゃんともらえます。(懲戒処分等を除いて)

②換算方法

1年毎に0.5ヶ月分の月給分を退職金としてもらう権利があります。例えば、3年間以上勤務した方は1.5ヶ月分となります。

会社側に退職者が「ほしい」と言わないともらえない事がある

ベトナムの法律なので、企業担当者が赴任したばかりなどで法律を知らないことがあります。理解いただくように連絡してみてください。(弊社は弁護事務所ではないので、弁護はお受けいたしかねます。)
なお、過去に退職金を不当に支払われなかったということで、会社を相手に裁判を起こし、最終的には和解という形で退職者側に100万以上が支払われたという事案もあります。

必ずしも会社が自腹で支払うワケではない

もし現職中の企業が失業保険に加入していてくれば、退職金はベトナム政府から支払われます。そうではない場合は企業から支給されます。

退職金のもらい方

上述の通り、退職金はベトナムの法律上、被雇用者が取得できる権利ですので、多くの日系企業では退職日前後に振り込んでもらえるかと思います。
しかし、企業担当者が退職金制度について知らない場合も考えられるので、まずはしっかりと退職金を取得したい旨を伝える必要があります。
意思疎通ができれば問題なく取得できるでしょう。

退職を申し出てから退職日の決め方

退職には会社都合と自己都合のほか、依願退職というものがあり、ベトナムではこの方法が一般的となります。依願退職とは、従業員と会社の合意によって雇用契約が解約される退職方法です。

依願退職の場合、双方の合意が得られれば、退職日はいつでも良いので、極端な話をすると相談から翌日でも可能となります。

ベトナムの商習慣としては合意後30~45日後の退職が一般的です。日本人の現地採用者の場合は後任を探すのに時間がかかるため、後任への引継ぎ期間なども含め、2~3ヶ月後とすると、会社側は助かると思います。

 退職金制度や退職日に関しては各会社ごとに契約内容などによって異なり、それぞれ細かく留意点などもありますが、大枠は以上となります。

退職金をもらえない時はどうする?!

ベトナムにも日本と同じように労働法や厚生労働省(ベトナムでは労働局)はありますが、残念ながら日本語対応はしておりませんし、会社と個人間の争議においては、外国人(日本人)のために手厚い対応を期待することはできません。

退職前であれば、策はあります。
会社が支払わない理由は2つ考えられます。1つ目は担当者が法律を理解していないケース。2つ目は関係性が良くないケースです。いずれにせよ解決策としては法律を叩きつけるしかありませんが、退職前であれば、退職日までの引き継ぎ業務など、「会社にとって重要な業務」と引き換えに、退職金の確約を交渉するという方法です。会社が何らかの理由で退職金を支払いたくない場合でも、引き継ぎ業務はやってほしい業務なので、渋々でも退職金は取得できる可能性が高いです。

すでに退職してしまっているのであれば、退職金を得ることは非常に難しいでしょう。日本人の担当者としては退職金を支払いたいが、ベトナム人側の総務や経理担当者がYesを出さないケースもありますし、もしあなたが不祥事を起こしていた場合等、会社側の言い分もあるでしょう。弁護士を雇ったりして正当に訴訟するよりは、穏便に撤退した方がかえって費用は抑えられるかもしれません。

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「日の本紹会」情報発信局
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